真の家庭
はじめに
今までの人類歴史において、天道と三綱五倫という古い法度が、世の中を収拾する人倫道徳の一つの母体となってきました。しかし、終末である今、それらのものがすべて崩壊してしまい、その結果、極度の個人主義、愛の秩序を破壊するフリーセックス、同性愛のホモ・レズが乱舞する時代となりました。そして真の愛を中心として理想家庭を願ってきた天の側を完全に破壊する地上地獄の時代となったのです。
エデンの園における人間始祖の堕落によってその種が蒔かれたがゆえに、そのような現象が世界的に展開し、堕落の実を刈り取る収穫期が来たのです。堕落した偽りの父母の因縁を中心として、神様と関係のない伝統を受け継ぐことによって、この世界は混乱と混濁の世界となりました。
言い換えれば、人間始祖が自らの責任分担を完遂することができずに不倫な血縁関係を結んだために、その後の人類はサタンの子女として、忠実な僕として、サタンの主管を受けるようになったのです。
そのため、復帰摂理は、サタンの血統と生命と愛を分立し、神様の善なる血統と生命と愛を復帰してきたのです。したがって全人類は、サタンと関係のない、本然の血統と連結された神様の真の息子、娘として生まれ変わらなければなりません。
それゆえに、真の父母がこの地に来られて新しい主義を立てなければなりません。それが真の家庭主義です。真の家庭主義は、神の真の愛主義です。神の真の愛主義は、家庭を越えて国境を超越し、この平面的な世界をすべて超越します。そして互いが授け受けするにおいて、まず自分が先に授けようとする主義なのです。
本書は、真の御父母様の真の家庭に関する愛の言葉が満ち溢れ、読む者の本心を目覚めさせるに余りあります。そして、神様が本来人間に対して願っていた真の子女の心情と真の兄弟の心情、真の夫婦の心情、真の父母の心情を体恤し完成していくにおいて、適切かつ貴いみ言がこの本に盛り込まれています。ゆえに真の自由と平和と幸福に満ちた家庭を成そうと願うすべての方々の良き道しるべとなることを確信します。
本書を訓読される皆様の家庭が、日ごとに真の家庭として成長し復活する生活となることを祈願いたします。
日本語版発刊によせて
これまで十二冊からなる小冊子シリーズとして多くの人々に親しまれてきた『真の家庭』が、このたび一冊の本として出版されることになりました。元来このシリーズは真の家庭運動を推進するためのテキストとして、まだ統一原理を学んだことのない一般読者の方々にも、人類の真の御父母様であられる文鮮明先生の説かれる真の愛の理想が理解できるようにという意図で編纂されたものです。しかし、既に原理を学んでいる私たちが改めて読み返してみても、家庭のあるべき姿について実に多くのことを教えられ、心動かされることが少なくありません。
文鮮明先生の語られるみ言には、常に普遍的な真理の力がみなぎっていますが、このテキストはそれが最も平易な言葉で表現されたものであり、まさにすべての人が読むべき「真の愛の教科書」であると言えるでしょう。これまで文鮮明先生は「四大心情圏」について数多くのみ言を語ってこられました。そして私たちが日々唱和している「家庭盟誓」の中にも、四大心情圏の完成という目標が掲げられています。それは私たちが日々の家庭生活の中で、子女の愛、兄弟姉妹の愛、夫婦の愛、父母の愛という四つの型の愛を啓発し、それらすべての愛を授け受けすることができるような心情を自らの中にはぐくんでいくことを意味しますが、そのための具体的な方法や心構えが本書の中には実に丁寧に解説されています。
今日、私たちのまわりの社会では、「家庭とは何か」という概念そのものが危機にさらされています。伝統的な父母と子からなる家庭の概念を相対化して、離婚・再婚がもたらしたステップ・ファミリー(継母、継子など、血縁のない親子関係を含む家族)、未婚・非婚の母と子の家庭、あるいはゲイやレズビアンのカップルまでも「アルタナティブ・ハウスホールド」(もう一つの生活体)として認めさせようとする動きが米国を中心として活発化し、国連にまで影響を与えようとしています。また日本においては「失楽園」や「援助交際」といった言葉に代表されるように、大人から青少年に至るまで、性倫理の崩壊は深刻な事態になっています。私たちはこのような風潮に対し、家庭は本来こうあるべきであるという標準をはっきりと示さなければなりません。
家庭は「愛の学校」です。私たちが真の愛をはぐくむ場所は、家庭をおいてほかにありません。訓読会を通してまず私たち自身がその愛の理想を学び、それを実践するとともに、より多くの人々にその理想を伝えるため、本書が活用されることを願ってやみません。
二〇〇〇年二月